0-2. 開発環境の構築¶

Javaの開発を始めるには、JDK（Java Development Kit）とコードエディタ/IDEが必要です。

JDKのインストール¶

JDKとは¶

JDK（Java Development Kit）: Javaアプリケーションを開発するためのツールキット
Javaコンパイラ（javac）
JVM（Java Virtual Machine）
標準ライブラリ
デバッガーやその他の開発ツール
JRE（Java Runtime Environment）: Javaアプリケーションを実行するための環境（JDKに含まれる）

JDKのバージョン選択¶

現代の開発では、JDK 17以降のLTS（Long-Term Support）バージョンを推奨します。

LTSバージョン: 11 (2018), 17 (2021), 21 (2023)
推奨: JDK 17またはJDK 21
最新機能を試したい場合: 最新のリリース版

LTSとは？ - 長期間のサポートが保証されるバージョン - 本番環境での使用に適している - セキュリティアップデートが長期間提供される

インストール方法¶

1. Oracle JDK¶

公式サイトからダウンロード: https://www.oracle.com/java/technologies/downloads/

2. OpenJDK（推奨）¶

オープンソース版のJava。複数のディストリビューションが存在します。

主要なディストリビューション: - Temurin（旧AdoptOpenJDK）: Eclipse Foundationが提供 - Amazon Corretto: AWS提供の無料ディストリビューション - Microsoft Build of OpenJDK: Microsoft提供

インストール例（Ubuntu/Debian）:

# Temurin (推奨)
sudo apt update
sudo apt install -y wget apt-transport-https
wget -O - https://packages.adoptium.net/artifactory/api/gpg/key/public | sudo apt-key add -
echo "deb https://packages.adoptium.net/artifactory/deb $(awk -F= '/^VERSION_CODENAME/{print$2}' /etc/os-release) main" | sudo tee /etc/apt/sources.list.d/adoptium.list
sudo apt update
sudo apt install temurin-17-jdk

インストール例（macOS）:

# Homebrewを使用
brew install openjdk@17

# パスの設定
echo 'export PATH="/opt/homebrew/opt/openjdk@17/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc

インストール例（Windows）: 1. https://adoptium.net/ からインストーラーをダウンロード 2. インストーラーを実行 3. 環境変数 JAVA_HOME を設定

インストール確認¶

ターミナル/コマンドプロンプトで以下を実行:

java -version

出力例:

openjdk version "17.0.8" 2023-07-18
OpenJDK Runtime Environment Temurin-17.0.8+7 (build 17.0.8+7)
OpenJDK 64-Bit Server VM Temurin-17.0.8+7 (build 17.0.8+7, mixed mode, sharing)

javac -version

出力例:

javac 17.0.8

複数のJavaバージョンを管理したい場合

SDKMan!（Linux/macOS）やjEnvを使用すると、複数のJavaバージョンを簡単に切り替えられます。

# SDKMan!のインストール
curl -s "https://get.sdkman.io" | bash

# Javaのインストールと切り替え
sdk install java 17.0.8-tem
sdk install java 21.0.1-tem
sdk use java 17.0.8-tem

IDE（統合開発環境）のセットアップ¶

1. IntelliJ IDEA（推奨）¶

JetBrains社が提供する高機能IDE。

Community Edition（無料）: Javaの基本的な開発に十分
Ultimate Edition（有料）: WebフレームワークやDB連携機能が充実

ダウンロード: https://www.jetbrains.com/idea/download/

主な機能: - 強力なコード補完 - リファクタリング支援 - デバッガー - 統合されたビルドツール（Maven、Gradle） - Git連携

2. Visual Studio Code¶

軽量で拡張性の高いエディタ。

必須拡張機能: - Extension Pack for Java (Microsoftが提供するJava開発パック) - Language Support for Java (Red Hat) - Debugger for Java - Test Runner for Java - Maven for Java - Project Manager for Java

ダウンロード: https://code.visualstudio.com/

3. Eclipse¶

長い歴史を持つオープンソースIDE。

ダウンロード: https://www.eclipse.org/downloads/

IDEの基本設定¶

IntelliJ IDEAの初期設定¶

新規プロジェクトの作成
File > New > Project
Java を選択
JDKを指定（インストール済みのものが自動検出される）
JDKの設定確認
File > Project Structure > Project
SDKが正しく設定されているか確認
コードスタイルの設定（任意）
File > Settings > Editor > Code Style > Java

VS Codeの初期設定¶

Extension Pack for Javaをインストール
JDKの設定
Ctrl/Cmd + , で設定を開く
"java.configuration.runtimes"で検索
JDKのパスを設定
Javaプロジェクトの作成
Ctrl/Cmd + Shift + P でコマンドパレットを開く
Java: Create Java Project を選択

プロジェクト管理ツール（簡易紹介）¶

本格的な開発では、ビルドツールを使用します（詳細はSection 5で解説）。

Maven: XML形式の設定ファイル（pom.xml）
Gradle: Groovy/Kotlin DSLによる柔軟な設定

まとめ¶

JDK 17以降（LTS版）をインストール
IDEは IntelliJ IDEA Community Edition または VS Code + Extension Pack for Java を推奨
インストール後は java -version と javac -version で確認

これで開発環境の準備が整いました。次のセクションで最初のJavaプログラムを作成しましょう。